今日のポイント

AI(人工知能)にお金をかけすぎているのでは、という不安が再び広がり、東京とニューヨークで半導体・AI関連株が大きく売られました。日経平均は1,713円安、米ナスダックは6月以来の大きな下げです。同時に中東の緊張で原油が5月以来の高値まで上がり、「株安・原油高・円高」が一度に起きた一日でした。

今日の羅針盤(Compass Insight)

この日の主役は「AIへの期待の揺り戻し」です。メタ(旧フェイスブック)は売上高が予想を上回ったのに株価が約7%下落しました。市場が気にしたのは足元の利益ではなく、AIのためのデータセンター投資がこの先どこまで膨らむか、という点です。前日まで「業績が良ければ中東の不安は無視できる」という空気でしたが、その前提が一日で崩れた形です。日経平均の下げの大半はアドバンテスト・東京エレクトロン・ソフトバンクグループの3社によるもので、TOPIXの下げは1.14%にとどまりました。市場全体が崩れたというより、AI関連に集まりすぎていたお金が逃げた、と見るのが実態に近いでしょう。

家計の目線では、二つの動きが反対方向に働いています。原油(北海ブレント)は1バレル113ドル台と5月以来の高値で、ガソリン代や電気・ガス代の値上がり圧力は強まっています。一方で、株安を受けて「安全資産」とされる円が買われ、ドル円は156円台後半と約3週間ぶりの円高水準になりました。円高は輸入品の値段を抑える方向に働くため、原油高の痛みを少し和らげる可能性があります。

短期的には、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀の会合、そして中東情勢、特に米国の対イラン行動の行方に注目です。中長期では、AI投資が本当に利益として回収できるのかという問いが、ハイテク株や、それを多く含む投資信託の値動きを左右し続ける可能性があります。新NISAなどで株式投資をしている人は、値動きの大きさに慌てず、自分の資産がどの分野にどれだけ偏っているかを確かめておきたい局面です。

今日のニュース

日本

  • 日経平均1,713円安、6万3,000円割れ:22日の東京株式市場で日経平均は前日比1,713円40銭安の6万2,907円84銭と大幅に反落し、安値で取引を終えました。終値での6万3,000円割れは7月30日以来、約3カ月ぶりです。
  • PHPの欠陥、公表前から悪用の試み:米アマゾン・コムは、プログラミング言語「PHP」の重大な欠陥について、公表前に悪用しようとした形跡を確認したと発表しました。公表の4日前にはすでに攻撃を検知していたと報じられています。AIを使えば公開から数分で攻撃に移れるとの指摘もあり、サイトの早急な修正が求められています。
  • 台風30号が先島諸島に接近:大型で非常に強い台風30号(チャンパー)の接近で、沖縄気象台は八重山・宮古島地方に暴風警報を発表しました。石垣空港は23日の全便欠航が決まっています。週末にかけては西日本から東日本でも大雨のおそれがあり、最新の気象庁情報を確認してください。
  • 円が約3週間ぶりの高値:株安を受けた「リスク回避」の円買いで、東京市場では一時1ドル=156円台を付けました。

世界

  • 原油が5月以来の高値:トランプ米大統領がイランへの行動を示唆し、北海ブレント原油は1バレル113ドルを超え、5月以来の高値となりました。
  • サウジ・アラムコが本社で退避:サウジアラビアの国営石油会社アラムコは東部の本社で必要な職員以外の退避を指示し、サウジはリヤドやメディナ上空で無人機を迎撃したと発表しました。トランプ氏は、イランが米中間選挙を前に原油価格をつり上げようとしていると非難しています。

アメリカ

  • ハイテク株が急落:22日のニューヨーク市場でナスダック総合指数は2.6%安と6月以来の大きな下げとなりました。AI投資と資金調達コストへの不安が再燃し、半導体株が下げを主導しました。
  • メタが約7%安:決算と1株を2株に分ける株式分割を発表しましたが、株価は約7%下落しました。テスラも決算後に約3%下げています。
  • 失業保険申請、3カ月ぶり低水準:先週の新規失業保険申請件数は19万4,000件と7月以来の低さでした。雇用は底堅さを保っています。

ヨーロッパ

  • EU、ウクライナ支援の資金集めへ:11月の臨時EU首脳会議は26〜27日の2日間に延長され、ウクライナ支援も議題に加わります。ゼレンスキー大統領は2027年分として700億ユーロの追加支援を求めており、EUは日本や英国などにも負担増を求めています。
  • マクロン氏、外国首脳の発言を批判:フランスで先週末に起きた暴動をめぐり、マクロン大統領は外国首脳の発言を「受け入れがたく、愚か」と批判しました。トランプ氏を念頭に置いたものとみられています。
  • EUが省エネ要請を検討:中東危機によるエネルギー価格の上昇を受け、EU各国が家庭や企業にエネルギー使用の削減を求める案が検討されています(まだ決定はしていません)。

経済とお金の動き

世界の経済と原油・相場

指標 水準 前日比
日経平均株価(10/22終値) 62,907.84円 -1,713.40円(-2.65%)
NYダウ(10/22終値) 52,867.98ドル +11.89ドル(+0.02%)
S&P500(10/22終値) 7,663.43 -93.74(-1.21%)
ナスダック総合(10/22終値) 26,008.86 -694.00(-2.60%)
ドル円(10/22 ECB参照レート) 157.05円 NY終値は156円70〜80銭(1円40銭の円高)
WTI原油(10/22) 99.47ドル/バレル +2.39%
北海ブレント原油(10/22) 113.17ドル/バレル +約4%

※米国株の前日比は、前日(10/21)終値との差から算出しています。

原油は、米国とイスラエルがイランへの再攻撃を検討しているとの観測から5月以来の高値に上がりました。サウジ周辺で攻撃が日常化するなか、市場は「供給が止まるかもしれない」という保険料を上乗せし続けています。ブレントが110ドルを超える水準が続けば、世界の物価は下がりにくくなります。

アメリカの経済

米国株は、ダウがほぼ横ばいだった一方、ハイテク株の多いナスダックが大きく下げ、「業種による明暗」がはっきり出ました。AI向けクラウドのコアウィーブは借金の多さが意識されて約10%安となるなど、借入に頼るAI関連ほど売られています。一方で米10年国債利回りは債券買いで5%前後に低下しました。失業保険申請の減少が示すように雇用はなお底堅く、原油高とあわせて、来週のFOMCで金利の行方がどう判断されるかが焦点です。

日本の経済

日経平均は小高く始まったものの、米株先物の下げを受けてすぐにマイナスに転じ、安値引けとなりました。下げの中心は半導体関連で、アドバンテスト・東京エレクトロン・ソフトバンクグループの3社が指数を押し下げました。TOPIXの下落率は1.14%と日経平均(2.65%)の半分以下で、値がさのAI関連株に偏った下げだったことがわかります。円高が進んだことは、輸入物価にはプラスですが、輸出企業の業績見通しには重しとなります。

今日の注目銘柄・セクター

  • メタ・プラットフォームズ:決算と株式分割を発表しましたが、株価は約7%下落しました。業績よりも、AI関連の巨額投資が続くことへの警戒が上回った形です。
  • 半導体関連(アドバンテスト・東京エレクトロンなど):AI投資の持続性への疑問から、日米とも売りの中心になりました。日経平均の下げの多くはこれら数銘柄によるものです。
  • セキュリティ関連株:PHPの脆弱性問題を受けて対策需要が意識され、日経平均の大幅安のなかでセキュリティ株は急騰しました。
  • ブラックストーン:投資先の売却(エグジット)見通しが明るかったことから、下げ相場の中で株価が上昇しました。

※特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で。

まとめ:注目の3つ

  1. AI投資への不安:メタの急落をきっかけに、AI・半導体株の調整がどこまで続くか。
  2. 原油と中東:ブレントは113ドル台。米国の対イラン行動次第で、ガソリン・光熱費にさらに響く可能性。
  3. 台風30号と来週の日米会合:先島諸島・西日本の大雨への備えと、FOMC・日銀会合が金利と円相場に与える影響。

出典:

本記事は公開情報をもとに作成しています。