今日のポイント

中東の緊張が続き、原油(北海ブレント)が1バレル116ドル台と約半年ぶりの高値まで上がりました。そのあおりでニューヨークではダウ平均が650ドルを超えて下げ、東京も半導体株を中心に続落しています。日本では9月の物価上昇率が9カ月ぶりに2%台へ戻り、「原油高と物価」が改めて家計の目の前の問題になった一週間の締めくくりでした。

今日の羅針盤(Compass Insight)

前日の主役が「AI投資への不安」だったとすれば、金曜日の主役は再び「原油」でした。ナスダックの下げは0.21%にとどまり、ハイテク株の売りはひと息ついた一方、ダウ平均は1.23%安と大きく下げました。航空株など、燃料コストが重くのしかかる業種が売られたのが象徴的です。株式市場の不安の中心が「AIは儲かるのか」から「エネルギー高は景気をどこまで冷やすのか」へと、もう一度移ったと読めます。

家計への影響で見逃せないのは、日本の9月の物価です。生鮮食品を除く消費者物価は前年同月比2.1%上昇と、9カ月ぶりに2%台に戻りました。担当者は中東情勢による価格転嫁も一部影響したとしています。ガソリン税の暫定税率廃止などの政策が物価を押し下げているにもかかわらず伸びが加速した点は重く、原油高が長引けば電気・ガス代や食品の値上がりとして、じわじわ暮らしに届く可能性があります。ドル円は156円台後半で大きくは動いておらず、円安による上乗せは今のところ限定的です。

短期的には、来週28日に結果が出る米連邦公開市場委員会(FOMC)と、11月3日の米中間選挙をはさんだ米国の対イラン姿勢に注目です。物価の伸びが戻ったことで、日銀の追加利上げ観測も意識されやすくなっています。中長期では、住宅ローンの変動金利を使っている人は金利の行方を、投資をしている人はエネルギー高に強い業種・弱い業種の違いを、それぞれ確かめておきたい局面です。

今日のニュース

日本

  • 9月の物価、9カ月ぶり2%台:総務省が23日に発表した9月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で前年同月比2.1%上昇でした。8月の1.7%から伸びが拡大し、2%台は2025年12月以来です。一方でコメ類は前年同月比20.6%下落と、比較できる1971年以降で最大の下げ幅でした。
  • 日経平均は続落、ただし終盤下げ渋り:23日の日経平均は前日比214円68銭安の6万2,693円16銭。寄り付き後は1,400円超下げる場面もありましたが、半導体関連に売りが続いたものの終盤に下げ幅を縮めました。
  • 台風30号、先島で記録的暴風・大規模停電:台風30号は23日に先島諸島へ最接近し、与那国町などで10月の観測史上最大の暴風を記録、沖縄電力によると石垣市や竹富町などで1万4,470世帯が停電しました(23日午後5時時点)。九州北部には26日に最接近する見込みで、週末から週明けにかけて警報級の大雨に警戒が必要です。最新の気象庁情報を確認してください。

世界

  • 原油、約半年ぶりの高値:北海ブレント原油は1バレル116.72ドルで取引を終え、約半年ぶりの高値となりました。週間では6%を超える上昇です。サウジアラビアへの攻撃が強まっていることが供給不安を広げています。
  • 「戦争はあと1年続く可能性」:米国のウォルツ国連大使は、イランとの戦争がさらに1年続く可能性があるとの見方を示しました。イラン革命防衛隊はホルムズ海峡近くでタンカー7隻を航行不能にしたと主張し、トランプ大統領は「中間選挙前に原油価格をつり上げるためのうそだ」と反論しています。

アメリカ

  • ダウ652ドル安:23日のニューヨーク市場でダウ平均は652.82ドル安の5万2,215.16ドルと大きく下げました。週間ではダウだけがプラスで、S&P500とナスダックは2週連続の下落です。
  • 中間選挙まで10日:トランプ氏は10月上旬、中間選挙前にはイランを攻撃しないと表明していますが、市場では選挙後の攻撃再開を警戒する見方が出ており、原油高の一因となっています。
  • アメックスが人員削減:アメリカン・エキスプレスは決算とあわせて約5%(3,500人)の人員削減を発表し、株価は約3%下落しました。

ヨーロッパ

経済とお金の動き

世界の経済と原油・相場

指標 水準 前日比
日経平均株価(10/23終値) 62,693.16円 -214.68円(-0.34%)
NYダウ(10/23終値) 52,215.16ドル -652.82ドル(-1.23%)
S&P500(10/23終値) 7,623.68 -39.75(-0.52%)
ナスダック総合(10/23終値) 25,955.34 -53.52(-0.21%)
WTI原油(12月物) 103ドル台/バレル 約+3.8〜4%
北海ブレント(12月物) 116.72ドル/バレル 約3%上昇・半年ぶり高値
ドル円(ECB参照値・10/23) 156.80円 156円台後半で小動き
STOXX600(10/23終値) 635.77 -0.31%

原油は3週連続の上昇で、世界の株式市場にとって最大の重しになっています。原油高は物価を押し上げ、各国の中央銀行が利下げしにくくなる——という連想が、株価と金利の両方に効いている状況です。

アメリカの経済

米10年国債利回りは5%をわずかに下回る水準で推移しています。10月の製造業PMI速報値やミシガン大学消費者信頼感指数の確定値は予想を上回り、景気の底堅さは確認されました。28日のFOMCでは政策金利の据え置きが広く予想されています。景気は崩れていないが、エネルギー高でインフレが再燃しかねない——FRBにとって判断の難しい組み合わせです。

日本の経済

ニューヨーク外国為替市場のドル円は156円86銭で引けました。9月の物価上昇率が2%台に戻ったことで、日銀の追加利上げ観測が意識されやすくなっています。ただ、総務省は宿泊料や水道料などは一時的な要因が大きいとしており、物価の勢いが続くかは10月以降の数字を見る必要があります。株式市場は、日経平均が200日移動平均線付近で下げ止まった形で週を終えました。

今日の注目銘柄・セクター

  • ケリング(仏・高級ブランド):主力ブランド「グッチ」の7〜9月期の売上高が落ち込み、株価は16.6%急落してSTOXX600で最も下げました。一方、同じフランスのロレアルは売上高が予想を上回り5.6%上昇と、明暗が分かれました。
  • 米サイバーセキュリティ株:パロアルトネットワークスやクラウドフレアなどが、調査会社エバーコアISIの調査でセキュリティ予算の見通しが強いと示され、それぞれ7%超上昇しました。前日のPHP脆弱性の悪用報道もあり、守りのIT投資への関心が高まっています。
  • 米航空株:ユナイテッド、デルタ、アメリカンなど航空大手は、燃料費の上昇が重荷となり下落しました。原油高の影響を最も直接受けるセクターです。
  • 日本の半導体関連株:メタやテスラの決算をきっかけにAI投資の採算への懸念が続き、23日も半導体関連に売りが優勢でした。

※特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で。

まとめ:注目の3つ

  1. 原油は116ドル台で約半年ぶりの高値。中東情勢と米中間選挙後の米国の動きが、引き続き最大の焦点です。
  2. 日本の物価が2%台に復帰。原油高が続けば光熱費や食品の値上がりにつながる可能性があり、日銀の判断にも影響します。
  3. 来週は28日のFOMC。景気の底堅さとインフレ再燃リスクのはざまで、FRBが何を語るかに注目です。

出典:

本記事は公開情報をもとに作成しています。