今日のポイント

きょうを貫くのは「災害と政策の重さ」です。ネパールとチベットの国境では、氷河の崩落をきっかけにした大洪水で死者が390人を超え、行方不明者は約1500人に上っています。米国では、トランプ大統領がカナダとの貿易対立のなかで五大湖の一つ「オンタリオ湖」を「アメリカ湖」と改称する大統領令に署名し、対立が象徴の段階まで踏み込みました。マーケットは、日本時間の今夜行われる米連邦準備制度理事会(FRB)ウォーシュ議長のジャクソンホール初講演を前に、様子見が続いています。市場が身構えているのは「利下げ」ではなく「利上げ」の可能性です。

今日のニュース

日本

  • 円相場は1ドル=159円台で推移し、再び160円をうかがう展開。日銀の早期利上げ観測と、中東情勢を背景にしたドル買いがせめぎ合っています。氷見野良三副総裁は27日の講演で金融政策の正常化に前向きな姿勢を示しました。
  • 日経平均株価は27日、前日比130.18円安の66,131.98円と3日ぶりに反落。エヌビディアの好決算を受けて朝方は一時700円近く上昇したものの、ジャクソンホール会議を前にした持ち高調整の売りに押し戻されました。
  • 7月28日に発生した令和8年熊本地震(マグニチュード7.1、最大震度7)の復旧が続いています。気象庁の被害地震一覧では8月13日時点で死者39人、住宅被害は1万棟超とされています。

世界

アメリカ

ヨーロッパ

経済とお金の動き

世界の経済と原油・相場

前日の米国市場では、エヌビディアの好決算をきっかけにハイテク株が買われ、主要3指数がそろって上昇しました。半面、翌日のジャクソンホール講演を前に投資家の慎重さも目立ち、上値は限定的でした。

指標 終値・水準 前日比
ダウ工業株30種 53,569.44ドル +105.56ドル(+0.20%)
S&P500 7,730.99 +55.29(+0.72%)
ナスダック総合 26,541.35 +411.15(+1.57%)
日経平均株価(8/27終値) 66,131.98円 -130.18円(-0.20%)
WTI原油(期近) 83ドル台後半 中東情勢を背景に底堅い
ドル円 159円台後半 円安方向、160円をうかがう

(株価・為替は表中リンクおよび末尾の出典に基づく)

原油は1バレル=83ドル台後半で高止まりしています。中東情勢の緊迫が続くなか、供給不安とドル高が価格を下支えしています。原油高は輸入国である日本にとって、電気・ガス料金やガソリン価格の押し上げ要因です。

アメリカの経済

市場の関心は、ウォーシュ議長の講演一点に集まっています。バンク・オブ・アメリカの調査では運用担当者の69%が「中立的なトーン」を予想していますが、中立が織り込み済みなだけに、少しでもタカ派・ハト派に振れれば相場は大きく動きます。予測市場では、講演で「利下げ」に言及する確率はわずか8%。むしろ市場は9月の利上げをおよそ3分の1の確率で、12月の利上げを67.6%の確率で織り込んでいます。背景には根強いインフレがあり、クリーブランド連銀のハマック総裁は改めて利上げを主張しました。30年物国債利回りは約19年ぶりの高水準で推移しており、FOMC内部の意見対立も過去10年近くで最も激しくなっています。

日本の経済

日本株はエヌビディア効果を消化しきれず、ジャクソンホール待ちで小動きにとどまりました。円安が輸出企業には追い風でも、輸入物価を通じた家計負担は重くなります。日銀の追加利上げ観測はくすぶり続けており、米国が利上げ方向、日本も利上げ方向という「両にらみ」の構図が、当面の円相場と長期金利を左右します。熊本地震の復興需要も、来年度予算をめぐる財政の論点として意識されそうです。

今日の注目銘柄・セクター

  • エヌビディア(NVDA):5〜7月期決算で1株利益2.22ドル(非GAAP)、売上高962億ドル(前年同期比+106%)を発表。次の四半期は売上高1080億ドル(±2%)、粗利益率74.0%(±0.5ポイント)を見込んでいます。株価は27日に約8%上昇し、半導体株全体をけん引しました。
  • ソフトウエア・サイバーセキュリティ(セールスフォース=CRM、クラウドストライク=CRWD):同時期の決算が堅調で、AI関連の需要期待から買い戻しが入りました。
  • メタ(META):171億ドルの和解で目先の不透明感は後退したものの、利用時間制限などの規制対応がSNS事業の成長にどう影響するかが焦点です。
  • 通商関連セクター:米加の関税合戦で、自動車・鉄鋼・アルミ・農産品などカナダとの取引が多い業種と、カナダドルの動向に市場の目が向いています。

※特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で。

まとめ:注目の3つ

  1. ネパール・チベットの大洪水 — 死者392人、行方不明約1500人。氷河崩落という気候変動リスクが現実の被害として表面化しました。
  2. ウォーシュ議長の初講演 — 「利下げ」ではなく「利上げ」を織り込む市場。今夜の一言でドル・金利・株が動きます。
  3. 米加の貿易対立が象徴の段階へ — 50%関税の応酬に加え、「アメリカ湖」改称。北米サプライチェーンへの影響が長期化しそうです。

今日の羅針盤(Compass Insight)

きょうの相場を貫くのは「金利は下がらないかもしれない」という現実です。長らく私たちは「インフレが落ち着けば利下げ」というシナリオに慣れてきましたが、米国では9月・12月の利上げが真面目に語られ、日銀も正常化に前向きです。世界の主要中銀が同時に引き締め方向へ傾くと、住宅ローンの変動金利や企業の借入コストは上がりやすくなります。変動型で住宅ローンを組んでいる家庭は、返済額の見直し時期と金利の前提を一度確認しておく価値があります。

家計により直接響くのは為替と原油です。1ドル=160円に近づく円安と、83ドル台の原油高が重なると、輸入食品やエネルギーの価格は下がりにくくなります。短期的には、今夜のウォーシュ議長の講演でドル円がどちらに振れるかが目先の分岐点。中長期では、米加の関税対立が北米の生産コストとインフレをじわじわ押し上げる可能性に注目しています。ネパールの災害が示すように、気候変動に伴う自然災害は保険料や食料価格という形でも家計に返ってきます。過度に悲観する必要はありませんが、「金利のある世界」を前提に家計を点検する局面です。


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