今週のポイント

10月1日から7日の一週間は、米国の雇用減速で追加利上げへの警戒が後退し、AI・半導体株が日米の株価を押し上げる一方、長期金利、原油、円安は高止まりした週だった。

米国の9月雇用統計では、雇用者数の増加が2万9,000人に急減速し、失業率は4.2%へ上昇した。FRBが10月に追加利上げを行うとの見方が弱まり、ナスダックは上昇。その流れを受け、日本では半導体株が買われ、日経平均は6日に終値で約3カ月ぶりの7万円台へ乗せた。

しかし、景気減速の兆しが金利問題を解決したわけではない。米10年国債利回りは週前半に一時5.34%と2002年以来の水準へ上がり、雇用統計後も5%台にとどまった。原油もホルムズ海峡をめぐる緊張から高値圏にあり、円は1ドル=157〜158円前後で推移した。

日銀の植田総裁は、物価の上振れリスクを警戒しながら利上げを続ける考えを示した。株価は上がっていても、住宅ローン、ガソリン、灯油、電気・ガス、輸入食品には負担が残る。今週は、金融市場の明るさと家計の実感が離れた一週間だった。

一週間の流れ

1. 米雇用が急減速、追加利上げ観測が後退

2日に発表された米9月雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比2万9,000人増にとどまり、失業率は4.2%へ上昇した。雇用の勢いが弱まったことで、FRBが10月会合で追加利上げを急ぐとの見方が後退した。

株式市場では、景気の弱さよりも「金利がこれ以上上がりにくくなる」という期待が重視された。米主要3指数はそろって上昇し、特に金利の影響を受けやすいハイテク株が買われた。

ただし、弱い雇用は企業活動や消費の減速を示す可能性もある。利上げ見送りへの期待だけでなく、今後は企業業績が景気減速に耐えられるかを確認する段階へ移る。

2. AI・半導体が日経平均7万円と米株高をけん引

東京市場では、米国の追加利上げ観測が後退したことに加え、AI・半導体需要への期待から関連株が上昇した。日経平均は1日に2,203円上げ、6日には終値で7万683円98銭と約3カ月ぶりに7万円台を回復した。

米国でもS&P500が最高値を更新した。グーグルがAI向けデータセンターの電力確保に向け、原子力発電の大型購入契約を結んだことで、資金の流れは半導体から電力・原発関連へも広がった。

AIはソフトウエアだけの話ではない。データセンターには半導体、送電網、発電設備、冷却設備が必要になる。今週の株高は、AI投資が電力インフラ全体へ波及していることを示した。

一方、日経平均の上昇は一部の値がさ半導体株に偏った。6日はアドバンテスト1銘柄が上げ幅の約半分を占めたとされ、指数の高さだけで市場全体が同じように強いとは言い切れない。

3. 物価と雇用が鈍っても、長期金利は5%台

週初めには、FRBが重視するPCE物価指数が予想より落ち着いた。それでも米10年国債利回りは5.29%へ上昇し、翌日には一時5.34%と2002年以来の水準に達した。

弱い雇用統計を受けて利回りはいったん下がったが、5.28%まで戻った。市場は目先の物価や雇用だけでなく、原油高、各国の財政不安、国債の供給増、「高い政策金利が長く続く」可能性を警戒している。

英国でも30年国債利回りが1998年以来となる6%台へ上昇し、フランスでも国債が売られた。今週の金利高は米国だけの問題ではなく、世界的な動きだった。

4. ホルムズ海峡の緊張とG7の石油備蓄放出

ホルムズ海峡付近ではタンカーへの攻撃が相次ぎ、イラン側は条件が満たされない限り海峡を開かない姿勢を示した。北海ブレント原油は1バレル100ドル台で推移し、冬を前にエネルギー価格への警戒が続いた。

G7は原油高への対応として、最大1億バレルの石油備蓄を4カ月かけて放出することで合意した。供給を増やすことで、ガソリンや軽油の値上がりを抑える効果が期待される。

ただし、備蓄放出は不足を一時的に補う対策であり、タンカー攻撃や海峡封鎖の原因を解決するものではない。地政学的な供給不安が続けば、価格を下げる効果が限られる可能性がある。

5. 日銀は利上げ継続、円安と住宅ローンの間で難しい判断

日銀の植田総裁は6日、物価の上振れリスクに注意しながら利上げを続ける考えを改めて示した。円安と原油高が重なれば輸入物価が上がり、日銀には追加利上げの圧力がかかりやすい。

一方、利上げは変動型住宅ローンや企業融資の負担を増やす可能性がある。海外の長期金利高は日本の固定型住宅ローンにも上向きの力をかけるため、固定・変動のどちらを選んでいても金利動向と無関係ではない。

円は1ドル=157〜158円前後の円安水準が続いた。米国の利上げ観測が後退しても円高が大きく進まなかったことは、日米金利差だけでなく、原油輸入や市場心理など複数の要因が為替を動かしていることを示している。

6. 食料品減税と世界の選挙、政治の不確実性も拡大

日本では臨時国会が召集され、食料品の消費税率を引き下げる法案が焦点になった。成立すれば家計の食費負担を軽くする方向に働くが、参議院で与党が過半数に届いておらず、審議の行方は不透明だ。

海外ではブラジル大統領選が25日の決選投票へ進み、スペインでは11月29日の解散総選挙が決まった。米国も11月の中間選挙を控える。

政策の方向が決まらない期間が長いほど、企業は投資や価格設定を判断しにくくなる。金利と原油に加え、選挙や議会運営も年末へ向けた市場の変動要因になっている。

今週出てきた重要用語

「悪いニュースは良いニュース」

弱い経済指標が、利上げ停止や利下げへの期待を強め、株価上昇につながる状態。今週は雇用の急減速が追加利上げ観測を弱め、株式市場には好材料として受け止められた。

非農業部門雇用者数

米国の農業以外の仕事で雇用されている人が、前月からどれだけ増減したかを示す指標。景気とFRBの金融政策を判断する重要材料で、毎月の発表時には株価、金利、為替が大きく動くことがある。

長期金利

10年国債など、返済までの期間が長い債券の利回り。住宅ローンの固定金利や企業の長期借入金利に影響する。政策金利の見通しだけでなく、物価、景気、財政、国債発行量でも動く。

戦略石油備蓄

原油供給が止まった緊急時に備え、国が保有する原油。在庫を放出すると市場の供給を補えるが、使える量と期間には限りがあり、紛争や輸送障害そのものを解決する政策ではない。

値がさ株

1株あたりの価格が高い株。日経平均は採用銘柄の株価をもとに計算するため、値がさ株の値動きが指数全体へ大きく影響しやすい。

市場の幅

相場の上昇がどれだけ多くの銘柄や業種に広がっているかを表す見方。一部のAI・半導体株だけが指数を押し上げる場合、株価指数が高くても市場全体の強さは限定的なことがある。

バックヤード解説:景気が減速したのに、なぜ株価は上がったのか

株価は現在の景気だけでなく、将来の利益と金利を織り込んで動く。今週の米雇用統計は景気減速を示したが、市場はまず「FRBが追加利上げを急がなくなる」という面を評価した。

金利が下がる期待が強まると、将来の企業利益を現在の価値へ置き換えた金額が大きくなりやすい。特に、将来の高い成長を期待されているAI・半導体企業には追い風となる。

さらにAI関連では、半導体の需要だけでなく、データセンターの電力確保という具体的な投資が進んでいる。グーグルの原子力契約は、AI投資の波が発電会社やインフラへ広がっていることを示し、成長期待を補強した。

ただし、米長期金利は実際には5%台に高止まりし、原油も高い。雇用の弱さが企業収益の減少につながれば、「利上げ見送り」という追い風だけでは株価を支えきれなくなる。上昇が一部銘柄に集中していることも、相場が悪材料に敏感になりやすい理由だ。

つまり今週の株高は、景気が良くなった結果というより、金融政策への期待とAI投資への期待が、景気減速やコスト高への不安を上回った結果と考えたほうが分かりやすい。

家計と生活で見ておきたいこと

住宅ローンでは、日銀の追加利上げ時期と契約上の金利見直しルールを確認したい。変動型は政策金利、固定型は長期金利の影響を受けやすく、どちらも返済額が増えた場合の余力を点検しておく必要がある。

エネルギーでは、原油高と円安をセットで見ることが大切だ。ドル建ての原油価格が横ばいでも、円安になれば円換算の輸入価格は上がる。冬の灯油、電気・ガス、ガソリン、物流費を通じた食品価格への影響に注意したい。

10月からは酒税改正でビールの税率が下がる一方、発泡酒や第三のビールは値上がり方向となった。制度変更によって同じ売り場でも価格の動きが分かれるため、日常の買い物では商品ごとの実売価格を比べたい。

NISAなどで株式投資信託を持つ家計には株高が追い風となった。ただし、指数上昇が一部のAI・半導体株に偏っている。短期の上昇だけを前提にせず、資産配分と値下がり時の許容範囲を確認しておきたい。

来週に向けた注目点

  1. 米FOMC議事要旨で、追加利上げへの意見がどこまで割れていたか
  2. 米国の物価指標が、雇用減速後の金利見通しをどう変えるか
  3. 米10年国債利回りが5%台から下がるか
  4. 日経平均7万円台が一部の半導体株以外にも広がるか
  5. 日銀が追加利上げの時期をどのように示すか
  6. ホルムズ海峡の安全確保とG7備蓄放出が原油価格を抑えられるか
  7. 臨時国会で食料品の消費税引き下げ法案が前進するか
  8. ブラジル決選投票、米中間選挙、スペイン総選挙を前に市場の変動が強まるか

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本記事は公開情報をもとにAIが作成しています。特定銘柄の売買や金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で。